こだわり独自機構
ギアリンク方式
物理キーを押すON/OFFだけでなく押し心地や感触にこだわって開発したFCLコンポーネントの「ギアリンク方式」はノートPC用キーボードで長年培ったコア技術が活かされています。
「ギアリンク方式」とは2つのギアのかみ合わせにより、キー天面のどの部分を押下しても水平に上下する構造でキー押下時のぐらつきを抑え安定した操作が可能です。また内蔵ラバーの特性と組み合わせることによりキー押下の感触や押し込みストローク量、ON位置や押し感のクリック量等を調整することができます。
ギアリンクを採用した当社製品は医療機メーカー様や工作機メーカー様の操作パネル製品に採用いただいています。
ギアリンク図
操作性の良いキーボードとは
「操作性の良いキーボード」とはどんなキーボードでしょうか? 私たちの考える操作性とは「押せば確実に入力される」ことです。 PC操作の多くの時間はキーボード操作であり快適性と直結します。この思想を形にしたのが「Libertouch FKB8540」(現在は終息品)で、操作性やキー感触についてはこだわりの強い製品です。
キーボードの感触の中でこの「Libertouch」はカクッという「クリック感」を持つキーボードに属します。操作者はクリックを感じることで”キーを押した”感覚を得ることができます。 一般的なキーボードではこのクリックを感じた後で更に押し込むとON(入力)します。そのため、押した感覚とONの位置に差が生じてしまい、キーを押したのに「ONしない」現象となります。この「入力漏れ」は操作性、快適性を大きく損ないます。
「Libertouch」では独自機構により「クリック」の中にON位置を設けているためキー押下とONの感覚にズレがなく、「押せば確実に入力する」ことができます。これにより流れるようなタイピングを可能にしました。
Libertouch FKB8540(終息品)
「こだわり独自機構」の構造
一般的なデスクトップキーボードの構造は下記のように構成されています。
- キートップ(押下ボタン)
- スライダー(摺動部品)
- ハウジング(スライダーの通り道)
- ラバー(感触を出す部品)
- スイッチ(入力)
私たちは更に「スプリング」部品を追加してラバーと組み合わせた「こだわり独自機構」を開発し、「押せば確実に入力される」操作感を実現しました。
クリック感について
なぜラバーだけでは「押せば確実に入力される操作感」を実現できないのかご説明します。 一般的なラバーの役割は下記の2点です。
- キー感触を演出する
- メンブレンシートを押下してONさせる
- クリック感を優先(その後にON位置設定)
- ON位置を優先(クリック感が減少)
「キー感触」とは、 主にキーを押して「カクッ」と感じる「クリック感」を指します。キーを押し始めるまではラバー自体がキーの高さを保持します。 キーを押し始めてからラバーの反力が最大となる位置を「ピーク」といいます(図1)。 そこから更にキーを押し込むことで、ラバーの反力が抜けて一気にラバーが座屈します。 この位置を「ボトム」といいます(図2)。 この「カクッ」と感じる感触が「クリック感」であり、人がキーを押していると感じる部分です。(ピークとボトムの差)
「メンブレンシートを押してONさせる」とは 一定の荷重でメンブレンシートを押し続けることで上部接点と下部接点が導通してONさせることです。この時のラバーは「ボトム」を押し上げる方向に力が発生します(図3)。このため、「カクッ」と感じる落差は小さくなりクリック感が減少してしまいます。 ラバー単体構造では以下のどちらかを選択する必要があります。
私たちの考える「操作性の良いキーボード」とは「キー感触」と「ON位置」のどちらも犠牲にできません。これがラバー単体では私たちのこだわりを実現することができない理由です。
スプリングとラバーが生み出すキー感触
「こだわり独自機構」のスプリングとラバーが生み出すキー感触について説明します。
私たちの「こだわりの独自機構」は下記のように役割を分担させています。
- クリック感を演出 → ラバーの役割
- メンブレンシートを押下してONさせる → スプリングの役割
この役割分担で、ラバーはキー感触だけを演出できるようになり、押し込み圧やクリック量は自由度の高い調整が可能になります。 また「メンブレンシートを押下してONさせる」必要がないため、クリック量を減少させる力が働きません。 その代わりに「メンブレンシートを押下してONさせる」役割をスプリングに持たせます。 スプリングは変形した分だけ一定の荷重でメンブレンシートの接点を押下し続けることが可能であり、キーを押し上げる方向の反力もラバー単体構造に比べ軽くできるため、クリック感を大きく損なうことはありません。
メンブレンシートを押下するタイミング=ONはスプリングの長さで調整できますので、こちらも自由度の高い調整が可能となります。 この二つの部品にそれぞれの役割を分担させることで「こだわりの操作感」を実現することができ、私たちのこだわりである「押せば確実に入力される操作性の良いキーボード」が完成します。
世の中ではフリック入力や音声入力等の様々な入力装置が開発され、日々進化し続けています。 しかし直感的に物理キーを押下する、 押下時の感触を楽しむことができるキーボード文化はなくならないと考えています。 「キーボードはON/OFFだけの道具ではない」「使っていただけたら便利であることが分かる」と考えており、今後も「こだわりをカタチ」にしていきます。
キー荷重をカスタマイズ
「スイッチが押しにくい」「長時間押すと疲れる」「押した感覚がもっと欲しい」キーボードでこのようなお悩みがある場合は、もしかすると「キー(スイッチ)荷重」が関係しているかも知れません。 私たちの独自機構のスイッチはキー荷重をカスタマイズすることが可能なため、そのようなお悩みを解決できます。
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キー荷重の種類は以下の4種類をご用意しています。
- 45g : デフォルトの荷重(バランス良)
- 35g : 軽い力で入力が可能(軽く押したい!)
- 55g : クリック感【強】(しっかり押した感覚)
- Linear : クリック感の無いタイプ
通常のキーボードの場合、ラバーはシート状になっており個々の荷重を変更するのは非常に困難で、配列が違えばそれに対してイニシャル費も発生します。 しかし、私たちの独自機構のラバーは独立していますのでお客様に合わせたカスタム対応が可能であり、ラバー自体のイニシャル費を抑えることができます。 現在、専用機器のカスタムキーボードや、POS機器の端末など、各メーカー様からご採用いただいています。
「程よいクリック感」でおすすめの45gラバー
当社フラグシップモデルのキーボードに採用されているラバーは、独自機構によりキー荷重をカスタマイズすることが可能です。例えばキーボードの「キーコード」「印字内容」「キートップ色」などを変更したカスタムキーボードとして製造することもできますが、このスイッチ構造を用いてオリジナルの配列やお客様の筐体に合わせてカスタム化して製造することが可能です。私たちが思う良い感触は「打てば必ず入力されること」ですが、前述の0.45Nのラバーはバランスが良く、打鍵時に操作者はクリックを感じることで「キーを押した」感覚を得ることができます。
では「もっとクリック感を強くすればもっと打った感覚が得られるのでは?」と思われるかもしれませんが、強いクリック感ということはクリックが始まるピークが高くボトムが低いということです。( クリック感について)ピークが高いということはスイッチを押すための力そのものが大きくなるため重い押し心地となります。またピークからボトムまでの高低差が大きいと指の勢いが大きくなることによって底打ち感が大きくなります。これは操作者への疲労へつながります。
私たちのスイッチはクリック感をソフトにコントロールするためにラバーとスプリングを組み合わせた独自構造となっています。 この「程よいクリック感」のバランスで一番おすすめが45gラバーになります。 しかしながら、感触というのは人の好み、または目的によって左右されます。 お客様のご希望に合わせた感触をご提案することが可能ですので、ぜひご相談ください。